2006年6月28日水曜日

次官の代読

ある大きなイベントで基調講演を仰せつかったときのこと。基調講演の前にはお定まりのご挨拶がある。この日は協賛するお役所もリキが入っているらしく省の事務次官が挨拶をした。普通は局長か部長、または課長の挨拶が多いのに、この時は事務次官が自分で舞台に立った。次官は段上でおもむろに胸のポケットから封筒に入った挨拶状を取り出し、読み上げて、「xx省大臣yy、代読事務次官zz」と読み終わって一礼し、退場した。

私の基調講演後、二人で控え室に入ったとき、「よく分かる面白いお話でした。今回の運動の趣旨が伝わって助かります」と丁寧に挨拶された。「いえいえ、お役に立って何よりです」とこちらも型通り挨拶した後、「ところで、次官」と思い切って、切り出した。「事務次官は会社で言えば社長です。大臣のご挨拶を代読などされずに、ご自分のお考えを聞かせて頂いた方が我々は嬉しいですよ」と率直に、直裁にお話した。次官は、ちょっと考えて、「なるほどー! そうですねー! 今まで習慣のように部下の作った文章を読んでいましたが、なるほど、自分の考えを自分の名前でお話すべきですねー。これからそうします! 西岡さん、ありがとうございます」ときっぱりと言われた。「是非お願いします」と一礼したが、この次官、なかなかの人である。

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